愛知県知多市にて心療内科・精神科・児童精神科を診療する「新舞子メンタルクリニック」についてご案内します。
2019.春
40代 女性
90回の内観を通して変わったと思うことは、“心が穏やかになったこと”と“私は私で、そのままでいい”と自然に思えるようになったことでした。そのおかげで、心がとても楽になりました。
私は、幼い頃から母が大好きで憧れていました。仕事も家事もきちんとこなし、強くて優しい母はすごいなぁと思っていました。失敗したところはほとんど見たことがなく、私から見る母は完璧な女性でした。
いつの頃からか、私は自分と母を比べるようになりました。“お母さんのようにならなきゃいけない”と…でも、できない自分にとてもコンプレックスがありました。
私には兄と弟がいます。弟は幼い頃から慎重で頑固、母は私や兄のことをすごく叱っても、弟には諭すように言うことが多くありました。今、子育てをするようになって、“その子その子に合わせた子育てだった”というのが理解できるようになりましたが、当時は“なんで弟だけ叱らないの?”と思ったり、“もしかしたら、母は私より兄や弟の方を気に入っているのではないか”という気持ちを持っていたことを思い出しました。
そのことが根底にあったのかも知れませんが、私は“母に気に入られるように”ということを常に考えていたように思います。母の言うことにはほとんど逆らわず、母が望んでいそうなことを読み取ったり、母がどう思うかということを一番に考える子供だったように思います。
そのうち“自分の考えは母と一緒ではなくてはならない”と思うようになりました。自分に対してあまり自信が持てず、マイナス思考が強くなり、常に誰かと自分を比べていました。今考えると、できないことを母のせいにしていたんだと思います。
結婚生活で辛い目にあい、子育てもいつの間にか母がしてくれたようにではなく、自分が母にしてきたように“従順に言うことをきく”という型に息子を当てはめようと考えている自分に内観を通して気付きました。
内観が進む中で、今までには気付かなかった母の姿が浮かぶようになりました。何度目かの母に対する内観の時に、突然ふと“私はいっぱい愛されていたんだなぁ”と感じられ、母に対する思いが溢れて泣いてしまいました。なぜそう思ったか分かりませんが、頭の中に母の優しい笑顔や、してくれたこと、かけてくれた言葉などが浮かび、温かい気持ちに包まれているように感じました。
それ以降、母に対する思いが段々と変わっていったように思います。
年を重ねた今の母はできないことも増えて、昔のようにてきぱきとこなせることが少なくなってきました。そんな母を、“可愛い、素敵だな”と思える自分がいます。
辛い体験をして身も心もボロボロになった私と息子を受け入れてくれた家族が今は本当にありがたく、自分は幸せだと思えます。自分らしさを失って、生きていくのも嫌になっていた3年前が今は遠く感じられます。内観を通して“自分は自分でいい”と認めてあげることができるようになり、息子との関係も段々と変わり、今は息子の笑顔を見るのが幸せです。
辛い体験も受け入れて、“そのことがあったから今の自分がいる”ということを内観を通して気付くことができました。
これからは、支えていただいた方全てに感謝して、前を向いて生きていきたいと思います。
*この体験記につきましては、ご本人の許可を頂いて掲載しております。