愛知県知多市にて心療内科・精神科・児童精神科を診療する「新舞子メンタルクリニック」についてご案内します。

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内観療法体験記

2013.秋
50代 女性

私は、2012年4月から内観をさせて頂いております。
恥ずかしながら、私は「内観」という言葉を聞いたのは、その時が初めてでした。
家庭の事で大きな悩みを抱えていた私は、藁にも縋る気持ちと、永田先生からの「まだあなたのやるべき事は残っているんじゃないかな」という言葉で、内観の体験をする事にしました。
正直、10年近く悩み続け、女性相談センターやスクールカウンセラーの方にも相談していましたし、もうこれ以上自分が何をすれば良いのか分かりませんでした。

内観では、母に「していただいたこと」「お返ししたこと」「迷惑をかけたこと」、この3つの質問を3~5年ごとに調べます。長い道程、この先に何があるのか分かりませんでした。
でも、それは内観を体験した人にしか分からない。私は内観を続ける事にしました。
幸い、私はこのクリニックへ来る事は全く苦にはなりませんでした。
クリニックの方の優しい目と私を受け入れてくれる雰囲気が、私を癒してくれました。
私生活では次々に押し寄せる問題と恐怖心で心が落ち着かない日が続きましたが、一週間に一度先生にお話を聞いて頂き、アドバイスをしていただくそして内観する。不思議と気持ちが落ち着きました。
両親への内観が終わった頃には、自分の命の大切さ、そして深い愛情で育てて頂いた事に対する感謝の気持ち私は一人じゃない大丈夫と思えるようになっていました。
また、森川りうさんの「道のうた」がいつも自分を考えさせてくれました。
その後の「嘘と盗み」「養育費の計算」の内観においては、ますます自分の身勝手な行動と、そんな私を育てる為に必死に働き続けた両親に「感謝」以外の言葉は見つかりませんでした。

私は、以前夫から「お前のように苦労していない人間は、これから一生苦労するんだ」と言われていました。もちろん、その時疑問は湧きましたが、私は確かに両親、姉にも恵まれて暮らしていましたし、今の暮らしは苦しくて辛いけど、自分の駄目な所を更生させるものだと思い込むようになっていました。
しかし、2011年秋、長男から「生きているのが辛い」「お母さんも死にたい?」と言われました。まだ10才の息子からの衝撃的な言葉でした。
私は、今の苦しい生活は私だけではない。私の大切な人達すべてを苦しめているという事に気付きました。私は間違っている。その半年後、子供2人を連れて家を出ました。

そんな私が、「内観」という言葉すら知らなかった私が、「内観」と出会えた事は奇跡ですし、感謝の気持ちしかありません。
「弱い自分」「駄目な自分」そんな自分だけど、私は愛され育てられ、こんな自分でも応援してくれる人がいる幸せです。
いつか「恩返しがしたい」。その為にも今の自分を知り、そして反省し、私を必要として思ってくれる人達に心から感謝できる自分でありたい。
「内観」はそんな気付きを私に教えてくれました。やっと内観の入り口に立てたような思いです。

日々の生活は思い通りにいかない事ばかりですが、(本当に子育ては思うようにはなりません)まず「自分を調べる」日常内観を大切にし、自分の事を棚から降ろして自分を見つめようと思います。
やはり一生が勉強だし修行だなぁと思っています。
本当にありがとうございました。

*この体験記につきましては、ご本人の許可を頂いて掲載しております。

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