愛知県知多市にて心療内科・精神科・児童精神科を診療する「新舞子メンタルクリニック」についてご案内します。
2011.秋
30代 男性
私が内観を始めるきっかけは、父が新舞子メンタルクリニックの新聞記事を見て、内観をやってみては?という話からでした。父は、以前から内観療法というものを若干知っていたとの事ですが、新聞記事で再度思い出したようでした。
私も新聞記事を見させていただきましたが、当初はどんなものかピンときませんでした。
私は小さい頃から、祖母・父からの教えもあり、「今まで一人で生きてきたような態度、考え方や気持ちではダメであり、今の自分があるのもご先祖様や家族のおかげであり、たくさんの人々に助けられて生きてこられた」ということを忘れないように育ってきました。実際、内観を始めるまでは、今でも自分自身を見つめて他人のことを考えて生きてきているつもりでした。
でも、内観というものの説明を聞かせていただき、実際に行ってみるとかなり違うものだと感じました。違うというより、今までうわべだけの考え方でした。「人生の時間を止めて、別の角度から振り返る」ということは、多くの物事を考えさせられました。
内観を始めてからも、自分勝手な行動や考えをしてしまっていると思いますが、以前よりは少しですが他の人の気持ち、その人の立場や思い等を考えて接することができるようになったかなと思います。
内観を進めていくことにより考えさせられたことは、「お返ししたこと」をあまりにも思い出せないことです。「していただいたこと」「迷惑をかけたこと」は比較的たくさん思い出すことができるのに比べ、かなり少なく、情けなく感じました。
また、一番心に響いたのは、石井先生のテープを聴いた時のことでした。テープの後半に、人生最期の5分、誰を呼んで何を伝えるかという内容がありました。人生、いつ何が起き、どんなかたちで最期を迎えることになるか分かりませんが、最期は気持ち良く、楽しかった、いい人生だった、後悔のない生き方をしなくてはと思いました。
内観を何回も行っていくうちに涙が出ることもありました。怒りや情けない気持ちが込み上げてくることもありました。また、悲しくなる時もありました。しかし、今までの自分は今まで。これからは、内観で感じることのできた思いを少しでも継続して過ごしていこうと思いました。自分を見つめ、相手の気持ちを考えながら過ごしたいと思います。
今回、集中内観に行くタイミングを逃してしまったことは少し残念に思いますが、いつか機会があれば是非行ってみたいと思います。
*この体験記につきましては、ご本人の許可をいただいて掲載しております。
この方は約4か月間、内観療法を熱心にされた後、社会復帰をされました。