愛知県知多市にて心療内科・精神科・児童精神科を診療する「新舞子メンタルクリニック」についてご案内します。
2013.冬
40代 男性
私はある製造業の会社に20年勤めましたが、仕事のストレス・職場の人間関係等が原因で思うような成果が上がらず、産業医から専門科の診療を受けるよう勧められて新舞子メンタルクリニックを受診しました。診断の結果、幸い病的症状は見られなかったのですが、精神を安定させるために内観を勧められました。
内観について当初何も知らなかったため、初めて説明を受けた時に宗教の一種なのか、何か胡散臭いなと不安を覚えてしまいました。
内観初日に母に対する自分を振り返るにあたり、“してもらったころ、して返したこと、迷惑をかけたこと”を事実に基づいて思い返すことと説明を受け、不安は解消されました。
しかし、そんな昔のことをそう簡単に思い出せるものかと思いましたが、「当時の自分の家の様子、学校へ通った道の風景等を手掛かりにゆっくり思い出してみて下さい」との説明を受けて、その通りにしてみたら不思議なことにだんだん思い出すことができるようになりました。
自分の成長に応じておよそ3年ごとの期間を振り返ってみましたが、今振り返ってみると成長の過程は、レールのように真っすぐではなく曲がりくねっていて、記憶の濃い時期と薄い時期がありました。時期が近くになればなるほど覚えているかというとそうでもありませんでした。忘れられないエピソードのある時期では1時間を持て余してしまうこともありましたし、なかなか思い出せず些細なことはたくさん出てくるのに、してもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたことがまとまらない時期もありました。
私の内観は母に対する内観、父に対する内観を終えたところで一旦終了となりました。
振り返ってみると、自分は父母に対して少し冷めた見方をする子供だったように思えます。父母共稼ぎで自分はいわゆる鍵っ子だったこともあり、素直に甘えたりその裏返しで嫌ったりすることもなく、特別に問題を起こすこともないが無邪気になつく子供でもなかったので、父母も接し方に困ったのではないでしょうか。そんな可愛げのない子供の頃の自分を客観的に振り返っている自分に気付きました。
また、当時はそんなこと思いもしませんでしたが、振り返ってみると父母も色々と大変だっただろうなと今にして思うようになり、父はすでに他界しましたが母に対しては少し優しく接しようと思うようになりました。
内観を始めてから何か劇的に変わったかという実感はまだありません。ただ、じっくりと自分の内面と向き合う時間を取ることで、気持ちが安定してきたように思います。また、以前は職場でうまくいかなかったこともあり、自分の過去を全否定されたように感じることもありましたが、今は良いことも悪いことも含めて自分の人生であり、また、今までは何から何まで自分でやってきたように思っていましたが、父母をはじめたくさんの人との関わりの中でできてきた人生であると感じるようになってきました。
新舞子メンタルクリニックでの内観は今日で最後になります。最初は半信半疑でしたが、今はやってみて良かったと思います。今後も自分の内面を振り返る時間を取れるように努力したいと思います。
お世話になったクリニックの皆さんに感謝します。ありがとうございました。
*この体験記につきましては、ご本人の許可をいただいて掲載しております。