愛知県知多市にて心療内科・精神科・児童精神科を診療する「新舞子メンタルクリニック」についてご案内します。

ここから本文です。

内観療法体験記

2012.春
30代 女性

2012年3月18日~25日の一週間、富山県の北陸内観研修所へ行ってきました。

私が、初めて精神科を受診し、お薬を飲み始めたのは2000年の春でした。

1999年12月に子宮内膜症で手術をし、手術の前後1か月程、仕事(旅行会社窓口)を休職しました。
2000年1月始めに仕事に復帰してからは、『休んでいた分を挽回したい』という思いで、毎日必死でした。
先輩や同僚に迷惑を掛けてしまったのだから
でも、必死になればなるほど、空回りしていたように思います。
ある時、仕事で大きな失敗をしてしまいました。
窓口に立つのが怖くなりました。会社へ行くのが怖くなりました。
電車に乗れなくなり、電話に出られなくなり、人と会えなくなり、外に出られなくなり
一人で部屋に閉じこもるようになりました。

仕事、病気(子宮内膜症)、恋愛、、、いろいろな悩みが重なって、
ボーっとしていたり、泣いていることが多くなりました。
母が、一人で泣いている私を見て
『病院へ行こう』と、精神科の受診を勧めてくれました。
病院へ行こうと言われても、当時の私は自分が病気だとは思っていなかったので、
『なぜ精神科なんて』と疑問に思っていたのですが。。。
病院で薬を処方してもらい、少しだけ気持ちが楽になったことを今でもよく覚えています。

それから、約11年間。
症状は良くなったり、悪くなったりを何十回、何百回と繰り返し
薬は、減ったと思ったら、また増えてを繰り返していました。
治る病気だと先生はおっしゃるけれど、もしかしたら一生治らないかもしれないと、半ば諦めていたような状態でした。

そんな私に、2011年の春、転機が訪れました。
中日新聞に新舞子メンタルクリニックでの『内観療法』の記事が載りました。
その記事を目にした主人と母に、『新しい病院へ行ってみない?』と受診を勧められました。
当時の私は、精神科のお薬を一日10錠(3種類)服用していました。

2011年5月、新舞子メンタルクリニックを初めて受診しました。
それから、クリニックでの2週間に1度1時間の内観と、自宅での記録内観を続けました。
『内観』を続けていくと、自分の心がとても楽になりました。
理由は、わかりません。とにかく、心が軽くなり、楽になりました。
自分で『気づけるように』なりました。
『ごめんなさい』と、謝れるようになりました。

そして、遂に2011年12月に『お薬が0』になりました。
『内観療法』に出会って半年余りで10錠も飲んでいた薬を0にすることができたのです。

『お薬が0』になって、治療自体は終了したのですが
主人と母に対してだけ感情がコントロールできなくなる自分に苦しんでいました。
どうして?二人に対してだけ、感情が爆発してしまうのだろう??

2012年3月、永田先生がおっしゃいました。
『集中内観へ行けば、何かが掴めるから!』と。
集中内観は、私とは無縁だと思っていました。関係ないと思っていました。

しかし、永田先生がおっしゃった『何かが掴めるから!』という言葉に背中を押していただいて、私は集中内観へ行くことを決意しました。

一週間の集中内観は、ツラくて、寂しくて、泣いてばかりでしたが、本当に有意義な時間を過ごすことができました。
途中、何度も『帰りたい』と思いました。
『もう、帰ろう』と、思ったこともありました。
それでも一週間自分と向き合い、屏風と向き合い多くのことに気づくことができました。

ワガママで、自分のことしか考えていない自分。
周りの人からの真心を素直に受け止められない自分。
いつも逃げてばかりで、ごまかしてばかりの自分。
周りからどう見られているかを、気にしてばかりの自分。

そんな私のことも、まっすぐに想い、いつも心配し、気遣って支えてくれていた主人と両親の愛情にやっと、やっと気づくことができました。
この年になるまで、周りの人たちからの優しさに気づけなかった自分を情けなくも思いましたが、、、
富山へ行って、気づくことができて本当に良かったと思いました。

『死を見つめて内観をする』という言葉があります。
集中内観中も死を意識することはなかなかできなかったのですが、両親が元気で生きていてくれている間に、この様な経験ができて本当に良かったと思います。
亡くなってしまってからでは、ありがとうもごめんなさいも伝えられないのですから。。。

集中内観へ行けば、主人や母に対する感情をコントロールできるようになるのだろうか??そう思いながら、富山へ向かいました。
でも、そうではなく。。。
自分が周りの人から十分に大切にされていて、愛されていると気づくことができたことで、安心し、感情が爆発するようなことがなくなりました。

集中内観へ行く前、永田先生が『何かが掴めるから!』と、おっしゃいました。
その『何か』を、まだガッチリと掴めたとは言えませんが、手のひらにふんわりと感じることはできました。

クリニックの内観でも、十分に楽に日々を過ごせるようになりました。
集中内観では、それまでの内観では見えなかった深い部分まで見えました。感じました。
目を背けたくなるようなズルい自分の姿も見えました。
心の奥で、自分が本当に感じていたこと、言いたかったこともハッキリ見えてきました。
ワガママと素直をはき違えていたことにも、気づきました。

一週間の集中内観で全てがきれいサッパリ、クリアになったわけではありません。
これからも日常内観を続けて、もっと穏やかに過ごせるようになればと思っています。

ワガママではなく、素直な自分を出せるように。
周りの人たちからの真心を素直に受け止められるように。
今までの恩返しを、真心込めてできるようになりたいです。

*この体験記につきましては、ご本人の許可をいただいて掲載しております。

ここからフッターです。 ページの終わりです。